更新日:2024年5月7日
日時:令和6年4月12日(金曜日)午前10時30分から
場所:徳島市役所 8階 庁議室
1. 徳島市阿波おどりの経済波及効果について
徳島市阿波おどりの経済波及効果について(PDF形式:1,410KB)
別紙1 2023年徳島市阿波おどりの経済効果(PDF形式:1,548KB)
別紙2 2023年徳島市阿波おどりの経済効果(資料編)(PDF形式:2,231KB)
別紙3 2023年徳島市阿波おどり国内来場者データ分析(PDF形式:2,347KB)
動画配信は、ユーチューブ徳島市公式チャンネル (外部サイト)
注記:動画サイズ=約4.98GB、再生時間=1時間19分09秒
会見項目の説明に先立ちまして、私から一言申し上げます。
4月3日に発生した台湾花蓮(かれん)県沖を震源とする、最大震度6強という大地震により、花蓮県を中心に甚大な被害が出ておりますことに、徳島市民をはじめ関係者一同、大変心を痛めております。
徳島市民を代表して、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた方に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
台湾東部の花蓮(かれん)県には、徳島市と友好交流協定を締結している吉安郷(きちあんごう)があり、吉安郷(きちあんごう)の皆さまとは、これまで幾度となく交流を重ね、深い絆で結ばれております。
こうしたことから、徳島市といたしましては、4日に游淑貞(ゆうしゅくてい)吉安郷長(きちあんごうちょう)にお見舞いのメッセージを送らせていただいたとともに、10日には、市役所1階案内とふれあい健康館内に「令和6年台湾東部沖地震救援金」の募金箱を設置したところです。
救援金は6月21日まで受け付けておりますので、皆さまのご協力をお願いいたします。
なお、皆さまから寄せられた救援金は、日本赤十字社徳島県支部を通じて、被災地へお届けさせていただきます。
台湾の早期の復興と、被害に遭われ不自由な生活を余儀なくされている皆さまが一日も早く平穏な生活を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。
阿波おどりは、徳島市が世界に誇れる観光資源であるとともに、本市の経済振興や地域の絆づくりにも大きく貢献しております。しかしながら、その経済波及効果については、1991年に徳島経済研究所が公表した「阿波踊りの経済波及効果」以降は、公共機関等による算定は公表されておらず、阿波おどり事業の収支のみが取り上げられ、市内及び県内において多方面にわたる効果が計測されていない状況にあります。
そのため、徳島市では、2023年の徳島市阿波おどりの経済波及効果を分析し、阿波おどりの開催が地域にもたらす効果を明らかにすることで、阿波おどりをキーコンテンツとした新たな観光施策やまちづくり、地域経済の活性化に活用するための基礎資料として、「徳島市阿波おどりの経済波及効果」を取りまとめ、このたび公表することといたしました。
経済波及効果の調査・分析については、日本大学経済学部産業経営研究所に所属する鷲見(すみ)英司(えいじ)教授を代表とする研究グループに委託し、携帯会社が提供する「モバイル空間統計」サービスによる来場者数の把握、踊り連の連員や宿泊施設等へのヒアリングやアンケート調査等をもとに阿波おどりにかかる消費額を把握するとともに、ホテル、飲食、運輸業等の県内産業への経済波及効果を検証しております。
具体的な経済波及効果につきましては、記者会見資料の1ページをご覧ください。
「経済波及効果の概要」にありますように、2023年の阿波おどりの開催によって生じた需要額が徳島県内における各産業に与えた経済波及効果額を、「徳島県産業連関表」を用いて推計したところ、阿波おどりの開催により、8月12日と13日の2日間で県内産業の生産を、25億円誘発し、400人分の就業機会を創出する効果があることが明らかになりました。
次に、記者会見資料の2ページをお願いします。
経済波及効果とは、徳島市阿波おどりの開催によって、まず、主催者の実行委員会が阿波おどりの会場設営や警備、チケット販売等のサービスのために事業費を支出することをはじめとして、県内外からの来場者が県内で交通、宿泊、飲食、土産等のために消費をすること、また踊り連の連員が衣装等に支出することによって、「徳島県内」の産業の生産が誘発される効果のことです。
グラフにありますように、一つ目に、阿波おどりが開催されることで、実行委員会の事業費2億4千万円が支出され、連員が5千9百万円、来場者が交通費4億円、宿泊費4億円、飲食費4億9千万円、土産代2億8千万円、総額で約19億円の支出を行うことが期待できます。これを、専門用語で最終需要増加額といいます。
二つ目に、これらの実行委員会、連員、来場者の支出のうち、県内産業が生産した財やサービスを消費した分が「県内需要」で、17億円と見込まれます。この17億円は、一つ目の県内産業の生産を誘発した効果として、「直接効果」と呼ばれています。
したがって、ここまでで、阿波おどりの開催に伴う2億4千万円の開催事業費が、(事業費を含めて)7.7倍の19億円の新たな県内外の需要を作り出し、さらに7倍の17億円の県内生産を誘発する効果を持ったことがわかります。
三つ目に、一つ目の県内産業の生産が誘発される過程で、県内産業が生産した部品や原材料を使うことになるため、その部品や原材料を生産するための県内産業の生産をさらに誘発します。
また、県内産業の生産が増えることで労働者の所得が増えます。所得が増えると消費が増えることが期待できます。例えば、家族とバスで外食に出かけた場合は、運輸業と飲食業の売り上げ(生産)を増やします。
これらの二つの生産誘発効果のことを「間接波及効果」といい、7億9千万円の県内生産を増やすことが期待できます。
最後に、直接効果と間接波及効果を合わせた生産誘発額の合計は、25億円(24.9億円)となり、したがって、最終的に、阿波おどりの開催に伴う開催事業費は、10.3倍の県内生産を誘発する効果を持つことが期待されます。この25億円は約400人(397人)の就業機会を増やすことができる規模です。
具体的に、どの産業において生産が誘発されたのかを見ると、来場者が宿泊や飲食を行った宿泊業や飲食業などの対個人サービスで9億5千万円、来場者の移動による運輸業で5億円、演舞場運営のための物品リースや会場警備などの対事業所サービスで2億円、これらの経済活動が活発化することで卸売業や小売業に2億3千万円の生産が誘発されることが期待できます。
続いて、記者会見資料の3ページをお願いします。
2023年の阿波おどりは、荒天のために通常通り開催できたのは、8月12日と13日の2日間でした。先ほど説明した生産誘発額(25億円)は、この2日間の経済波及効果を試算しています。仮に4日間、通常開催できた場合の生産誘発効果をシミュレーションしました。
(A)は2日開催、(B)以降は4日間開催で、2日開催の1.5倍~2倍の来場者を見込んだケースです。
仮に1.8倍、つまり14日と15日の来場者数を、12日と13日の来場者の80%とした場合には、阿波おどりの開催事業費は、17倍の42億円の県内生産を誘発する効果を持つことが期待されます。2倍の来場者であれば、19倍の46億円の生産誘発効果が期待できます。
ただし、この産業連関表による推計には(他の経済波及効果の推計と同じように)いくつもの前提や仮定が置かれていますので、それらを少し変えることで最終需要増加額が変わり、直接効果、間接波及効果の生産誘発額が変わります。ただし、仮定・前提を変えても、効果が大きく変わるものではありません。
最後に、これまで徳島市の阿波おどりが、徳島市や徳島県全体の観光振興や地域経済の活性化に寄与していることは、漠然とイメージされてきましたが、長い間、客観的な評価は示されていませんでした。そのため、阿波おどりをキーコンテンツとした観光施策やまちづくり、地域経済の活性化策が有効に展開できていなかった可能性があります。
今回の分析により、県内産業に及ぼす経済波及効果、重複のない来場者数、来場者の居住地などの情報が、客観的に具体的な数値で明らかにされたことで、今後は、県内外の企業から阿波おどり開催への協力や協賛を得られやすくなることが期待できます。また、阿波おどりへの行政の財政的支援が、市民・県民の生活にどのような貢献をしているかを説明できることから、市民や県民の理解を得ることも期待できます。
万博の前年となる今年夏の阿波おどりは、国内外に徳島市の魅力をPR(ぴーあーる)する絶好の機会です。そのため、今回の公表データを効果的に活用し、多くの企業や関係団体の協力を得ながら、これまで以上に実行委員会と連携して、今後の阿波おどり事業に反映していただきたいと思います。
なお、「徳島市阿波おどりの経済波及効果」の公表資料としましては、お手元にお配りしている、本編(別紙1)と資料編(別紙2)、国内来場者データ分析(別紙3)となります。これらの資料は、本日の定例記者会見終了後、徳島市のホームページにおいても公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
広報広聴課
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