平成29年度予算編成方針
最終更新日:2016年10月18日
総括的事項
1 社会経済情勢と国の動向
日本経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな景気の回復が期待されるものの、世界経済の不確実性の高まり、金融市場の変動、並びに熊本地震の経済に与える影響などに十分留意する必要がある。
このような状況のもと、国は、「経済財政運営と改革の基本方針2016(以下「基本方針2016」という。)」において、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本に、「経済・財政再生計画」の枠組みの下、短期・中長期的視点から適切な財政運営に努めるととともに、成長戦略の加速と一億総活躍社会の構築を通じ、「成長と分配の好循環」の実現により、日本経済全体の持続的拡大均衡を目指すこととしている。
平成29年度予算では、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組み、予算の中身を大胆に重点化することとしており、裁量的経費等において前年度比1割を削減する一方で、「ニッポン一億総活躍プラン」等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設定するなどして、予算編成作業を進めているところである。
2 地方財政の状況等
歳入においては、緩やかな景気の回復の動きがみられるものの、急激な人口減少が進む状況下では、税収の早期かつ大幅な増加は期待できず、歳出においても、高齢化の進展等による社会保障関係経費の増加、老朽化による公共施設の維持管理への対応、近年の臨時財政対策債の発行等に伴い借入金残高が平成28年度末で196兆円となり、その償還が今後の大きな財政負担となることなど、地方財政は依然として厳しい状況にある。
しかしながら、このような状況下においても、地方は、地域の実情に応じた行政サービスを安定的かつ効果的に提供するために、持続可能な行財政基盤を構築するとともに、人口減少・少子高齢化などの構造的課題に対処するため、自主性・主体性を最大限に発揮して、地方創生に向けた取組みを着実に進めていかなければならない。
3 徳島市の財政状況
平成27年度決算では、収支調整のための基金の取崩しを行うことなく黒字を確保し、これで、6年連続して基金に依存ぜずに財政運営を行ってきたこととなる。しかしながら、平成26年度決算と比較すると、市税収入が25億円減少の393億円となり、平成7年度以降、(過去21年間)では最少となったこと等により、主要一般財源が大幅に減少した。このため、減収補てん債を12億円発行することで、黒字決算を維持したのが実情である。
平成29年度の収支見通しについても、今後の国の予算編成や地方財政対策の動向による影響が不透明であり、次のような極めて厳しい状況が見込まれる。
歳入
歳入面では、景気の緩やかな回復により、個人市民税が増加し、市税収入の微増が見込まれるが、国の地方財政対策である地方交付税及び臨時財政対策債は、算定方法の改正などにより、その動向が不透明である。
歳出
歳出面では、高齢化の進展等の影響による扶助費、公共施設の老朽化による維持経費、及び保険給付等に対する特別会計への繰出金の大幅な増加が見込まれる。
基金
財政調整基金及び減債基金を合わせた基金残高は、行財政健全化の取組みにより、徐々に増加し、一定額を確保しているが、将来にわたり持続可能な財政基盤を確立するためには、今後もできるだけ基金に依存しない財政運営を継続する必要がある。
4 平成29年度予算編成について
予算編成の基本的な考え方
現在、徳島市では、様々な課題を克服し、「すべての市民がいきいきと輝き、多くの人々にそこに住みたい、住み続けたいと思ってもらえるまちづくり」の実現に向けた指針として、「徳島市まちづくり総合ビジョン(以下「総合ビジョン」という。)」の策定に向け取り組んでいるところである。そのため、平成29年度の予算編成は、「総合ビジョン」の策定方針等を踏まえながら、編成作業を進めることとする。
また、人口減少対策は徳島市にとって、乗り越えなければならない重要課題であり、「徳島市人口ビジョン」に掲げる2060年の徳島市の人口24万人超を維持するために、対策の方向性を示した「徳島市未来チャレンジ総合戦略(以下「総合戦略」という。)」に基づき、地方創生に向けた取組みを着実に進めていくこととする。
一方で、平成29年度の収支見通しは、これまで以上に厳しい状況が想定され、何の対策も講じなければ多額の財源不足が見込まれることから、「行財政力強化プラン」の取組項目に基づき、要求限度額を設定することなどにより、経常的な経費の抑制を進めるとともに、事業の選択と集中により、予算の中身を大胆に重点化する必要がある。
そのため、歳入規模に応じた予算編成を行うという原則を徹底し、メリハリとメッセージ性のある予算編成を行うこととする。
また、徳島市の魅力や付加価値を高め、将来的な歳入の確保・拡大、歳出の抑制等の効果が期待される事業についても積極的に取り組むこととする。
以上の事項に留意のうえ、次の基本方針に基づき、予算編成を積み上げ方式で行うものとする。
徳島市まちづくり総合ビジョンの推進
平成29年度予算は、市長就任後はじめて編成する当初予算であり、今後、新たに策定する「総合ビジョン」に掲げる目指すべきまちの姿を行政と市民が共有し、心を一つにして、その実現に取り組んでいかなければならない。
そこで、市民目線のまちづくりを念頭に、ニーズを的確に捉えたうえで、新規・拡充事業の立案や既存事業のゼロベースからの見直しを行い、「総合ビジョン」に掲げる予定の3つの基本目標に基づき、真に徳島市の発展に繋がる施策に財源を優先配分し、予算の中身を重点化することとする。
「総合ビジョン」に掲げる予定の3つの基本目標
1 「つなぐ」まち・とくしま
‐人々が支え合い、笑顔で未来に歩むまちづくり‐
2 「まもる」まち・とくしま
‐すべての市民に質の高い生活を提供する安全で快適なまちづくり‐
3 「おどる」まち・とくしま
‐人々が集うにぎわいと活力のあるまちづくり‐
地方創生の加速化
徳島市が将来にわたって持続的な発展を続けていくためには、人口減少の克服は待ったなしの課題であり、徳島市の人口減少対策の方向性を示した「総合戦略」の計画期間も平成29年度が中間年度となるため、可能な対策からスピード感を持って実行し、地方創生に向けた取組みを加速しなければならない。
そのため、「総合戦略」に掲げる4つの新常識の創出のために、真に必要な施策については、積極的に平成29年度予算に盛り込むこととする。
あわせて、施策を進めるにあたり、国や県の地方創生に係る交付金等についても全力をあげてその獲得に努めることとする。
「総合戦略」に掲げる4つのチャレンジ
1 新常識「若者の夢は徳島市で実現する」の創出
2 新常識「子育てするなら3人以上」の創出
3 新常識「 心おどる水都・とくしま が一番面白い」の創出
4 新常識「進化する地域社会は持続する」の創出
持続可能な財政基盤の確立
人口減少と地域経済の縮小の悪循環、地域間競争の激化など、厳しい財政環境を乗り越えるためには、将来を的確に見据えた計画性のある財政運営を行い、持続可能な財政基盤を確立することが重要である。
そのため、「行財政力強化プラン」の着実な取組みにより、手綱を緩めることなく、内部管理経費の徹底した節減や歳出全般における事務事業の大胆な見直しを断行することにより、歳入規模に応じた予算を編成し、できるだけ基金に依存しない財政運営を行うこととする。
さらに、新たな事業や制度を拡充することにより、財政需要の増加を伴う場合は、既存事業の思い切った廃止や歳入確保策等を講じる、いわゆる「財源確保の原則」に徹した予算編成を行うこととする。
以上の基本方針に基づき、予算要求にあたっては、市民に最も身近な行政主体として創意工夫を凝らし、最少の経費で最大の効果があげられるよう、まずは各部局が主体性を持ち、予算の調整を行うこととする。
また、特別・企業会計についても、人口減少に伴う料金収入等の減少により経営環境は厳しさを増すばかりであり、国からも中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」の策定が要請されているところである。そのため、「行財政力強化プラン」の方針に基づき、自主的・主体的に収益確保・費用削減策を講じることにより経営力を強化し、一般会計からの繰出金を最小限に留めることとする。
なお、地方財政対策をはじめとする国や県の政策による影響が歳入・歳出両面にわたり生じることが想定されるため、財政課を中心に全庁をあげて情報収集に努め、柔軟かつ的確に対応することとする。
歳入について
市税の確保
市税は自主財源の根幹をなすものであり、歳入の4割程度を占める重要な財源であるとの認識に立ち、景気や経済情勢の動向、並びに税制改正等を慎重に見極めるとともに、課税客体の的確な捕捉や適正な課税に努め、収入の確保に万全を期すること。
滞納対策の強化
市税、使用料、各種料金等の未収金は減少傾向にあるものの依然として高水準で推移していることから、完納者に不公平感を抱かれることのないよう、滞納対策を強化し、未収金の解消に全力をあげること。
市債依存度の低減
将来世代に過度の負担を強いることのないよう、実質公債費比率の動向等に留意し、市債発行額の抑制に努めることとする。また、後年度に地方交付税措置のある有利な市債を中心に活用することとする。
財産収入の確保等
未利用財産について、将来の活用方法を十分検討し、貸付等の利用促進や処分が可能なものは、適正な価格により早期処分を行い、収入の確保に努めること。
新たな財源の確保等
収入の多寡にかかわらず、あらゆる財源の確保に努めること。特に、民間広告の掲載やネーミングライツ等による新たな財源の獲得に積極的に取り組むこと。
使用料・手数料は受益者負担の観点から、維持管理経費や他都市の状況等を十分勘案し、適宜見直しを行うこと。
歳出について
財源の重点配分
施策や事業の選択にあたっては、優先順位を洗い直し、その重要性、緊急性を慎重に検討し、将来の財政負担も十分考慮したうえで、財源の重点配分を行うこととする。
歳入確保・歳出抑制に繋がる事業の推進
中長期的な財政運営の観点から、将来的に税収等の歳入の拡大に繋がる事業、歳出の抑制に繋がる事業については、積極的に予算措置することとする。
特に、一時的に費用が発生しても将来の財政負担の軽減を期待できる真に効果的な取組みは積極的に予算化することとする。
事務事業の見直しと経費の削減
事務事業を遂行するにあたっては、常に住民ニーズを的確に把握するとともに、最少の経費で最大の効果を発揮できるよう創意工夫を図り、より効果的な行政サービスの提供に努めること。
事務事業の見直しにあたっては、行政の果たすべき役割を再度検証するとともに、制度の根幹にまで踏み込み、改めてゼロベースからの徹底的な見直しを行うこと。とりわけ時代の進展に伴い意義の薄れた事務事業については、廃止も含めた整理・統合を行い、民間活力の積極的な導入等を行うこと。
国・県支出金等を伴う事業への適切な対応
国・県支出金を伴う事業及び地方交付税算入のある事業については、その行政効果、必要性・緊急性、将来の財政負担等を十分考慮するとともに、国・県の予算編成の状況、制度改正、一般財源化の動向等に常に留意すること。
とりわけ、国・県支出金の制度が終了または縮小される場合、単に市費への振替えを行うような要求は、一切認めないので、国・県に対して強く申し入れその確保に努めるとともに、財源等の変更が判明した時点で速やかに財政課と協議すること。なお、国・県と市との間における経費負担関係の適正化や、超過負担の解消にも努めること。
権限移譲される事業の精査
県から権限移譲される事業については、県と十分協議し、事業内容及び必要経費等を精査したうえで移譲を受けるとともに、その財源の確保に努めること。
公共施設等総合管理計画に基づく財政負担の平準化
将来にわたって安心・安全で持続可能な公共施設サービスを提供するため、現在策定中の「徳島市公共施設等総合管理計画」の基本方針に基づき、施設の計画的な長寿命化・維持管理、並びに保有資産の縮減・規模の適正化に努め、限られた資産を最大限に有効活用しつつ、財政負担の平準化を図ること。
特別会計及び企業会計
独立採算の原則に立ち、基準を超える一般会計からの繰出しは厳に慎み、徹底した経営努力による経費の削減、受益者負担の適正化、使用料の収納率向上対策など、収入の確保に努め、経営体質の改善を行い、一層の健全経営に努めること。
また、不良債務等を有する経営状況の厳しい特別・企業会計にあっては、不良債務等の解消に向けた対策を講じること。
なお、具体的な予算編成等については、一般会計に準じることとする。
公社等
市が出資、補助等を行っている公社等については、その設立の趣旨を鑑み、組織の見直しや経営の合理化など、一層の健全経営に努めるよう要請すること。なお、運営費補助を行っている公社等については、事業費補助への転換を進めるよう当該公社等と十分協議・調整すること。
指定管理者が管理運営を行っている施設については、市民サービスや経費面など、その導入効果について把握・分析すること。
さらに、地方自治法の規定により、議会に事業計画や決算書類の提出が必要な公社等は内容について十分協議・確認しておくこと。
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