阿蘭陀写鳳凰文鉢(おらんだうつし ほうおうもん はち)
最終更新日:2019年6月28日
一口
民平焼
賀集民平作(「民」は正しくは「王」に「民」)
高9.2 cm 口径18.5 cm 高台径7.2 cm
箱の蓋表に「倣和蘭焼/菓器/淡島/白石山人民平製(朱文方印「白石山人」)」の書付があり、「阿蘭陀」と総称される焼物に倣った作品であることが知られる。近世後期の京焼作家の多くは、いわゆる「京阿蘭陀」を手掛けていることから、京焼写しに情熱を傾けた民平もまた、こうした和製阿蘭陀に関心を寄せていたと考えられる。実際、民平焼の中にも「和蘭陀写花鳥文鉢」「和蘭陀写金彩風景図煎茶碗」マジョリカ写唐草文煎茶碗」などの名将を持つ作品のあることも知られている。しかしながら本作品を見ても和蘭陀焼の要素は薄く、縁の内側に施された鋸歯状の幾何文などは、むしろ古渡りの更紗模様などを感じさせる異国趣味的を湛えた意匠であり、民平がどのように阿蘭陀焼を捉えていたのか検討する必要があろう。なお、釉に埋もれて判然とはしないが、高台内の中心部に「民平」印が確認される。
『阿波の茶の湯』,2011,p80
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