色絵秋草図茶碗(いろえ あきくさ ず ちゃわん)
最終更新日:2019年6月2日
一口
高8.2 口径11.8 高台径5.3
轆轤を薄く挽いた端正な碗形の形状、そしてやや丈の高い高台は裾に向かって撥形に開いた切高台。近世後期の京焼の茶碗にしばしば見られる器形であり、民平焼の茶碗に典型的な姿ともいえる。高台の周囲は露胎で、民平焼に特徴的な白い胎土を見せる。なだらかに均した高台の内側には、わずかに兜巾が立ち、左下隅に「民平」の印銘が捺されている。
箱の蓋表には初代民平と思われる流麗かつ個性的な筆跡で「描七種草花/茶わん/淡島窯所/勝瑞民平製(朱文印「民平」)と記される。「描七種草花」とある通り、白釉をかけた胴の正面に野菊、女郎花、萩、尾花(薄)、さらに裏面には藤袴、桔梗、撫子、あわせて七種の秋草が打ち重なるように生い茂る秋野の情景が、金彩も交えた鮮やかな色絵で描かれている。
ちなみに近代の蜂須賀家でも「秋草模様抹茶之碗」「秋七草ノ絵茶碗」などを数多く所有しており、民平焼の代表的意匠として好んで用いられていたことが窺える。(小川)
『阿波の茶の湯』,2011,p77
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